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レントゲン、見方の味方4 「立位」と「臥位」、腹部レントゲンを撮るならどっち?


「立位」と「臥位」、腹部レントゲンを撮るならどっち?

さて、今回は腹部レントゲンについてお話ししましょう。腹部レントゲンについて皆さんにしっておいていただきたいのは、撮影方法です。腹部レントゲンを1枚だけ撮影する場合、皆さんなら「立位」と「臥位」のどちらで撮影しますか?

「胸部レントゲンでは立位でとることが多いから、腹部も立位!」という意見や、「急患や高齢者であれば、起き上がれないかもしれないから臥位!」といった意見もあると思います。

下の画像は、同じ症例の腹部レントゲンの「立位」と「臥位」を並べたものです。胸部レントゲンについても「立位」と「臥位」の画像を比較しましたが、やはり腹部レントゲンでも、姿勢の違いによって画像が異なります。

特に腸管は、重力によって腹腔(ふくくう)内で上下に大きく移動するため、胸部レントゲン以上に、撮影時の姿勢によって画像所見が大きく異なるのです。

ですから重力の影響を受けずに、腸管を含む腹部の臓器の位置関係をみて異常の有無を判断したい場合、腸管が重なることで異常所見が隠れてしまいそうな場合には、「臥位」で撮影したほうがよいと言えます(あくまで個人的見解)。ですから私は、患者さんの腹部レントゲンは「臥位」で撮影する、と決めています。

立位

臥位

腸閉塞(イレウス)を起こした高齢女性の腹部レントゲン写真。上は「立位」、下は「臥位」。矢印はいずれも、腸管内に貯留した腸管ガス(小腸ガス)。

「立位」で撮影した際に見られる「山型」のガス像を「niveau(ニボー)」といい、腸閉塞の典型的な所見。

「臥位」では腸管ガスの「襞(ひだ)」が比較的小さく、小腸に見られる「ケルクリング襞」であることから、腸閉塞が小腸で起こっていることが分かる。小腸ガスは、あっただけで、基本は「異常」。

ちなみに「女性」と分かるのは、骨盤内の石灰化が「子宮筋腫の石灰化」であるため。



次回は腹部レントゲンで見逃してはならない小腸ガスについて学んでいきます。


→ 胸部レントゲンの見方、ちょっとしたコツ

レントゲン、見方の味方3

→ 腸管ガスの見方

レントゲン、見方の味方5