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心電図、ホンキのキホン12 ペースメーカー、アレコレ


ペースメーカー、アレコレ

前回はペースメーカーについて学びました。
「急性期」で使うペースメーカー(テンポラリー)と「慢性期」で使う
ペースメーカー(パーマネント)がありました。
いわば、医療のどんな場面・フェーズにおいて、ペースメーカーを使うのか、
という視点での分類でした。
今回は、パーマネントのペースメーカーを、「機能」で分類してみたいと思います。

ペースメーカーは、脈が遅い場合などに、電気刺激を発して心臓の筋肉を刺激する機械です。
ということは、「心臓の電気刺激を感じて」、「機械的に電気刺激を発する」必要があります。
そしてもう一つ、「どうやって心臓を刺激するか」、という3つの視点で機能を分類します。

この場合の「どこ」は、心臓の筋肉の「どこ」か、が問題となります。
「右心青房(Atrial)」と「右心室(Ventricular)」のどちらか、
またはその「両方(Dual)」の3種類で分類します。
つまり、「AかVかDか」、ですね。

次に「どうやって」ですが、これも3つあり、「抑制(Inhibit)」、
「同期(Trigger)」、そして「両方(Dual)」、です。
この「どうやって」について簡単に説明すると、

・「抑制(Inhibit):心臓の脈がきちんと出ていれば、ペースメーカーの刺激を控える(抑制する)」
・「同期(Trigger):心房と心室の収縮が うまく連動するよう、調整する(同期する)」
・「両方(Dual) :抑制も同期もできる」

むむむ!既に充分、ややこしい…。
このアルファベットを並べて、ペースメーカーの機能を表現する仕組みになっているのですが、
「どこを刺激するか」で3通り、「どこで感じるか」で3通り、「どうやって刺激するか」で3通り…。

つまり全部で3×3×3=27通り、となります。多い…(汗)。

でも、安心してください、実は3つ覚えれば充分です。アルファベットを並べるなら、

「VVI」:「右心室を刺激」+「右心室で感じて」+「抑制する」

「VDD」:「右心室を刺激」+「右心房と右心室の両方で感じて」+「抑制と同期の両方できる」

「DDD」:「右心房と右心室の両方を刺激」+「右心房と右心室の両方で感じて」+「抑制と同期の両方できる」

VVIのイメージ

DDDのイメージ

この3種類である場合が殆どですから、覚えておくといいと思いますが、実は、覚えてなくても平気です。
だってペースメーカーが入っていれば、少なくとも心臓は年単位で動き続けるわけですから。

しかしペースメーカーが入っているはずなのに、不整脈がでたり、異常は波形が出たりします。
またそのような場合には、「動悸」や「息苦しさ」など、何らかの症状が現れます。

そういった変化を見逃さないことが大切であり、おかしいと思ったら、
「12誘導心電図」を実施することが大切です。
「心電図モニターではダメなの?」と思う方もいらっしゃるかと思いますが、
心電図モニターでは、ペースメーカーの刺激や波形を正確に読み取れないことがあるのです。

ですから「おかしい?」と思ったら、心電図モニターではなく、
「12誘導心電図」で検査するように心がけてください。

結局のところ、心臓の病気を疑ったら、最初に実施すべき検査は
「12誘導心電図」、ということですね!
でも皆さん、ちゃんと胸部につける電極の色と順番、覚えていますか?

覚えていない・忘れた、という方は、このシリーズ9の下の方を復習してみてくださいね。