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脳神経内科専門医が教える パーキンソン病7 パーキンソン病治療、「もう1つの主役」


ドパミンアゴニスト の メリットとデメリット

パーキンソン病の治療薬の代表格は、L-ドーパとドパミンアゴニストであることは
これまでのコンテンツでご説明してきました。

そして前回は、L-ドーパの副作用として「ウェアリングオフ現象」や「ジスキネジア」があること、
そして内服薬をこまめに服用することである程度 対応できることをご説明してきまいた。
今回はパーキンソン病治療のもうひとつの主役であるドパミンアゴニストの副作用について学びます。

ドパミンアゴニストの副作用、衝動制御障害
ドパミンアゴニストの副作用で注意をしなくてはならないのは、衝動制御障害です。
読んで字のごとく、衝動をコントロールすることが難しくなる、というものです。
具体的には、「病的賭博」・「性的欲求の亢進」・「病的過食」・「買い物依存症」などです。
治療としてドパミンアゴニストを投与した方が、別人のように明るくなり、
ブランド品を買いあさってカード破産をきたす、といったケースもあり、
ご本人だけでなく、ご家族など 周囲の方の生活にも影響を及ぼしかねない副作用です。
その他にも、眠気や傾眠傾向、幻覚など、L-ドーパとは違った副作用がみられることがあります。

ドパミンアゴニストのメリットとは何か?
ドパミンアゴニストには困った副作用もある一方で、パーキンソン病治療の主役であるのも確かです。
では、なぜドパミンアゴニストを使用するのでしょうか?
それは、ドパミンアゴニストにはメリットがあるからです。
メリットの1つは、前回解説した「ジスキネジア」の発症を遅らせることができる点です。
代表的な薬剤での検討の結果、種類にもよりますが、その差は数年単位にもなる場合があります。
もう1つは、薬の半減期が長い、ということです。L-ドーパでは2時間未満ですが、
ドパミンアゴニストの場合は数時間から数十時間に及ぶものもあります。
また剤型も豊富で、テープのように貼るタイプの薬剤もあり、
内服が困難な方でも投与が可能である点も、メリットといえます。

デバイスを用いた治療法(DAT)を考慮すべきタイミング
L-ドーパやドパミンアゴニストを中心とした治療に、MAO-B阻害薬、COMT阻害薬、
ドパミン放出促進剤、抗コリン剤、アデノシンA2A受容体拮抗薬
、 …など、
多くの併用によって治療を継続していくわけですが、それでも長期になると、
薬剤の服用だけでは治療が困難にある場合があります。
そんなときに登場するのが、デバイスを用いた治療法(DAT)です。
DATには、胃瘻を増設して内服薬を持続的に投与する
「レボドパ/カルビドパ配合剤持続経腸療法(LCIG)」
脳を電気的に刺激して治療する「脳深部刺激療法(DBS)」などがあります。
次回はDATについて、お話ししたいと思います。