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そこが知りたい、認知症 3 「認知機能」 と 「認知症」


認知症について調べていくと、幾つかの似たような言葉が混同して使われています。
面倒ですが、この言葉の意味を簡単に解説します。

まず、「認知機能」とは、どんな機能のことでしょうか?

皆さんは、患者さんの「機能」を評価するときに、どんな指標を使いますか?
例えば、「食事を自分で摂ることができるか」とか、「トイレ動作には介助が必要だ」
といった「運動機能」で評価する方法がありますよね。

他には、認知症の診断基準の1つであるMMSEや意識レベルの指標である
JCSやGCSなどの「記憶」や「意識レベル」に関する指標もあります。

簡単に言えば、前者は「体を動かす機能」ですし、
後者は考えたり、覚えたり、コミュニケーションを取るための「脳の機能」です。

この「脳の機能」というのは何とも漠然としていますが、それだけ多くの要因を含んでいます。
実は「認知機能」とは、この「脳の機能」と考えておくといいかもしれません。


「認知機能」を理解するために
認知機能には多くの要因がある、といいましたが、それはどのようなことでしょうか。
それをイメージしやすいように、図にまとめてみました。
認知機能とは、「認知症」や「うつ傾向」、「せん妄」などによって影響を受けるため、
第三者から見ると、どんな要因が変化した結果、認知機能が変化したのか分かりにくいのです。

非常に分かりやすい例としては、患者さんのご家族から「入院したら、認知症が進行した」というパターンですが、
これは正しい表現ではありません。実は、入院によって認知症は悪化しません。

認知症は、年単位で進行する変性疾患が中心であり、脳組織も急激な萎縮や変化を起こさないのです。
急激に変化するのは うつ などの気分による影響や、入院生活によって変化した環境の影響によるものですから、
「認知症が進行した」のではなく、「入院したら、環境の変化や気分の変化の影響で認知機能が低下したため、
認知機能の1つの要素である認知症が まるで進行したかのように見える」、ということなのです。

医療現場でも、「入院したら認知(症)が進んだ」などという医療職の方がいらっしゃいますが、
誤解を招きやすいので注意が必要です。

逆の言い方をすれば、入院生活を始めて短期間で認知機能が低下したら、患者さんの気分やどうか、
適切な療養環境が提供されているかといった面に配慮する必要がある、ということですね。