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血液検査データの読み方:差がつく 生化学8 糖尿病:HbA1c・血糖


データで読み解く 「糖尿病」

「糖尿病」とは…
人間の体内には血糖をあげて脳活動を活発にするホルモンと、血糖を低下させるホルモンがありますが、
後者は膵臓から分泌されるインスリンしかないのです。では、何がどうなると糖尿病になるのでしょうか。
一連の過程を見ていきましょう。

1.正常なら食後にインスリンが「大量に・速やかに」分泌され、血糖が素早く(1時間程度で)正常に戻る。
2.暴飲暴食を続けると、膵臓が疲弊してインスリンが「少しずつ・ゆっくりと」
分泌され、血糖値はゆっくりと正常に戻る。
3.この状態を繰り返し、長期間続くと、高血糖が続き、
高血糖に対してインスリンも出続けなくてはならない。

4.インスリンが「大量に・速やかに」分泌されないことで、まず
(1)食後血糖が高値となり、その状態が続くと長時間かかっても血糖が下がりきらず、
(2)翌朝の血糖も高値となる。

このような状態を糖尿病という。従って「糖尿病の初期」・「軽い糖尿病」とは、
「無理をしてインスリンが分泌されても、血糖を下げられなくなった状態」の初期

ということなのです。

糖尿病の治療
糖尿病の治療薬には、内服薬とインスリンがあります。簡単に言うと、
「インスリンが充分に出ている間は内服薬、インスリンが不足したらインスリンを補充」、
と思ってください。

ですからインスリンの分泌能が低下した患者さんに、インスリンを投与せずに
内服薬だけで無理に治療するのは、むしろ糖尿病を悪化させ、
膵臓のインスリン分泌を完全に枯らしてしまうことになるのです。

無理せず、必要ならインスリンを使ってあげる方が、患者さんのためになる場合も多いのです。
ただし、その管理には認知機能の高低を考慮する必要があることをお忘れなく。

・内服薬の種類としては…
A:インスリンの分泌を促進するもの:SU剤(グリメピリドなど)
B:インスリンの効果を長期化するもの:DPP-4(ジャヌビア・グラクティブ・エクアなど)
C:インスリンの効果を邪魔する物質を減らすもの:メトホルミン
D:血糖の吸収を遅らせるもの:αGI(ベイスンなど)

・インスリンの種類としては…
イ:短時間だけ、素早く効くタイプ =即効型・超即効型 →上記4.の(1)の状態に対して投与
ロ:長時間、ジワジワと効くタイプ  =長時間作用型  →上記4.の(2)の状態に対して投与
ハ:イとロを混ぜたようなもの=ミックス

定時打ちのインスリンのタイミングと投与量
朝の血糖は正常だけど、昼の血糖が高くなる場合、
定時打ちのインスリンは、いつ投与するのが正解ですか?
昼に血糖が上昇しないように、朝に投与するのが正解です。

また、患者さんの体格や糖尿病の程度によっても差はありますが、
ものすごく、ものすご~くアバウトに言うと、
私の場合、目安として「インスリン2単位で血糖が50mg/dl下がる」…と考えて投与量を決めています。

ただしこの目安でそのまま投与すると、血糖が急速に低下することがあります。
インスリンを微調整しながら、少量から投与量を決めていくのが原則であることをお忘れなく!