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HOME >  レントゲン >  レントゲン、見方の味方8: 腹部レントゲンを参考に、治療プランを組み立てよう ・ その3

レントゲン、見方の味方8: 腹部レントゲンを参考に、治療プランを組み立てよう ・ その3


前回、前々回に続き、脳梗塞後の80代の男性、長期に渡ってベッド上 安静を続けてきた方の
便通管理を考えていきます。

経管栄養投与中の大腸ガス・小腸ガスの貯留に対して
1)経管栄養を中止
2)点滴投与を開始して腸管安静を図る
3)経鼻胃管は留置してセンノシドの内服を継続しましたね。

そこから数日が経過して大腸ガス・小腸ガスは減少したものの、依然として腸管ガスは多く、
前回は
4)大建中湯 5g 分2朝・夕食後、を開始しました。

大建中湯開始から数日後のレントゲンを示します。

前回、前々回に比べて、腸管ガスが明らかに減少していますね。

大建中湯開始後は腹痛もなく、安定した軟便~泥状便ではありましたが
1日1回程度の便通が見られました。

この間、食事・経管栄養の摂取を行っていなかったのですから、
便塊も多く貯留していたことになります。

しかし依然として肛門付近には便塊があり、写真では分かりにくいかもしれませんが、
一部に 小腸ガスを思わせる所見があったため、
この時点で 大建中湯を 1回2.5g 1日2回朝・夕から

5)大建中湯 1回2.5g 1日3回朝・昼・夕に増量
しました。

大建中湯増量から更に数日間の経過を経て、経管栄養を少量から再開し、
徐々に点滴を減量していきました。

経管栄養は、少量で多くの栄養・カロリーが摂取できるように、
濃い、つまり浸透圧の高い ものがあります。

そのため、投与によって下痢(浸透圧性下痢便)をきたすこともあり、
投与後に下痢便が続いてしまうこともあります。
あまり下痢が続くと、低K(カリウム)血症になるため、注意が必要です。

さて、大建中湯を増量し、経管栄養も再開しましたが、
次号はどんなレントゲン画像になっているでしょうか。

次号は完結編となるか、 ぜひ、ご覧ください。

→ 腹部レントゲンから治療プランを立てる・その2

レントゲン、見方の味方7

→ 腹部レントゲンから治療プランを立てる・その4

レントゲン、見方の味方9