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レントゲン、見方の味方7: 腹部レントゲンを参考に、治療プランを組み立てよう ・ その2


前回に続き、脳梗塞後の80歳男性、長期に渡ってベッド上 安静を続けてきた方の便通管理を考えていきます。
経管栄養投与中の大腸ガス・小腸ガスの貯留に対して、
1)経管栄養を中止
2)点滴投与を開始して腸管安静を図る
3)経鼻胃管は留置してセンノシドの内服を継続しましたね。
そこから数日が経過したレントゲン画像を示します。

前回に比べて、腸管ガスが減少しているのが分かります。
腸管を安静にするだけでも効果があったようですが、依然として小腸ガスも多く、
腸管の動きは良くないようですね。

腹部のCT検査を実施しましたが、腸の動きを停滞させる・腸閉塞の原因となる
病変がないことを確認しました。
腸管の動き(蠕動=ぜんどう)を改善させるため、大建中湯(だいけんちゅうとう)を
加えてみることにしました。

大建中湯は、腸の動きを改善・亢進することが知られており、
外科系の手術後の患者さんなどでは投与されている方も少なくないと思います。

筆者は、腸の動きが悪い症例に対しては、まずはセンノシドによって改善を図り、
増量などの内服調整を行っても改善しない場合には、大建中湯を用いるようにしています。

粉状の薬として処方されることが多く、経口では内服の難しさがあり、
また経鼻胃管からだと投与が難しいケースもあります。
意外と知られていないのが、さ湯(ぬるま湯程度で充分だと思います)に溶いて
薬湯として服用することです。
完全には溶けなくても問題はなく、経鼻胃管からも投与が可能になると思います。

また筆者の経験上ではありますが、高齢者の場合、容量としては「1回2.5g」を1日3回、ではなく、
1日2回でも充分、といった印象があります。

また食間や食前での服用を基本としていますが、食後の服用でも効果を発揮してくれる印象があります。

そこで本例では、
4)大建中湯 5g 分2朝・夕、を開始しました。
大建中湯開始によって、レントゲンはどのように変化するでしょうか?

続きは、次号でご紹介します。

→ 腹部レントゲンから治療プランを立てる・その1

レントゲン、見方の味方6

→ 腹部レントゲンから治療プランを立てる・その3

レントゲン、見方の味方8