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HOME >  レントゲン >  レントゲン、見方の味方10: 腹部レントゲンを参考に、治療プランを組み立てよう ・ その5

レントゲン、見方の味方10: 腹部レントゲンを参考に、治療プランを組み立てよう ・ その5


このシリーズでは、脳梗塞後の80代男性、長期に渡ってベッド上 安静を続けてきた方の
便通管理を考えてきましたが、経管栄養投与中の大腸ガス・小腸ガスの貯留に対して、

1)経管栄養を中止
2)点滴投与を開始して腸管安静を図る
3)経鼻胃管は留置してセンノシドの内服を継続。

更に 4)大建中湯 5g 分2朝・夕食後、を開始しましたが効果不充分と考えて、
前回は 5)大建中湯 1回2.5g 1日3回朝・昼・夕に増量
しました。

しかしその後に撮影したレントゲンでは、残念ながら腸管ガスは増えていましたので、

6)経管栄養を投与していない時間帯での経鼻胃管の開放
7)腸の動き(蠕動:ぜんどう)を改善させるための離床・車椅子移乗、トイレへの移乗、を並行して行う、

などの対策を加えて実施しました。すると…、

前回のレントゲンに比べてガス像も減少し、経管栄養も安定して投与できるようになりました。

依然としてガス像はありますが、「レントゲン、見方の味方6」で示した
介入前のレントゲンと比べると 腸管ガスは大幅に減少しました。

ただし、筆者よりもずっと上手に便通や腸管ガスを改善させることができた医療者の方も
大勢いらっしゃるだろうと思いますが、内服薬をはじめとして各種の調整を行った結果、
ようやく改善したわけです。

もちろん内服調整だけで改善した問題でもありませんし、
看護師やリハビリスタッフの皆さんのご協力がなければ、
ここまでの改善は得られなかったと思います。
そしてこの方は、この後、経口摂取訓練を続け、何とか自宅退院を果たすことができました。

便通管理は地味なものですが、患者さんの栄養摂取にも大きな影響を及ぼす点で非常に重要で、
医師の指示以上に、看護師をはじめ コメディカルスタッフの皆さんの協力が不可欠です。

本シリーズでは、筆者が経験した症例をもとに便通管理について解説してきましたが、
少しでも皆さんの参考になったのであれば幸いです。

本シリーズに加えて、「便通管理の極意」も、あわせてご覧ください。

→ 腹部レントゲンから治療プランを立てる・その4

レントゲン、見方の味方9