グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



HOME >  その他 >  間質性肺炎って、なに?

間質性肺炎って、なに?


「間質性肺炎」って、聞いたことがあるけど、よく分からない、という方も多いのではないでしょうか。
間質性肺炎は、頻度としては多くありませんが、起こると重症化しやすい厄介な肺炎です。
昨今のコロナウイルス感染症で見られる肺病変は、
この「間質性肺炎」のような画像所見を呈することで、話題になりました。

間質性肺炎の「間質」とは肺炎のある場所を表しています。
では、「間質」とは、どこでしょうか?実は肺炎には「実質」もあり、実質性肺炎というのもあるのです。
まずはこの実質性肺炎についてご説明します。
皆さんに質問です。「実質」とは、肺のどこでしょうか?
実質性肺炎というのは、実は普通の肺炎のことです。
つまり空気の通り道である気管・気管支や、肺胞に炎症が起こることを言います。

念のために、肺の構造をおさらいしておきましょう。
口や鼻から入った空気は、気管を通り、気管支を通り、気管支は分岐を繰り返しながら
最終的には小さな肺胞(はいほう)に達します。
肺胞は片肺で数百万個あると言われており、全ての肺胞を拡げると、テニスコートくらいの大きさになります。
肺胞は図のようにブドウの房のようになっており、肺胞の壁には細かい血管がびっしり張り付いています。
この肺胞の中に入ってきた空気中の酸素を肺胞の壁にある血管から取り込んで、
それが全身を巡ることで体の隅々にまで酸素が供給されます。

さて、話を戻しますが、実質性肺炎とは普通の肺炎のことでしたね。
そう、つまり気管支や肺胞に感染が起きて膿がたまることです。
対して間質とは、この空気の通り道の壁の部分のことを言います。
でも よく考えると、変だと思いませんか?


実質性肺炎=通常の肺炎実質とは、空気の通り道空洞の部分・・・なのに実質??

間質性肺炎=特殊な肺炎→間質とは、空気の通り道の肺の組織自体・・・なのに間質??


空洞の部分を「実質」といい、肺の組織そのものの部分を「間質」というなんて…。
つまり、ひだり下の図に書いた部分は空洞で、実はその周りこそが肺組織。
肺をスポンジに例えれば、スポンジの間の空気が「実質」、スポンジ自体が「間質」なのです。
このスポンジ自体に起こる肺炎が、間質性肺炎なのです。

ここに炎症が起こると、どんなことが起こるでしょうか。
肺組織が炎症によって肥厚し、炎症の治癒過程で「線維化」していきます。
線維化とは応急処置的な体の修復機構であり、きれいに、元通りに治せなかった場合に起こります。
線維化すると「スポンジが固くなり、伸び縮みしなくなるため、肺に空気を取り込むことができなくなります。

間質性肺炎は空洞に起きたバイ菌をやっつけるのではなく、肺の間質に起きた炎症を治すのが治療になります。
その炎症は、どこか自己免疫的であり、免疫の活動性を抑える治療が必要になります。
だからステロイドを使用するのです。
ステロイドの量も多く、喘息の治療で用いる吸入ステロイドがμg(マイクログラム)単位なのに対し、
間質性肺炎の治療(ステロイドパルス療法)で使用するステロイドはmg単位です(つまり1,000倍!)。

ですからその分、副作用も多く、ステロイドパルス療法中や
直後の胃潰瘍出血~出血性ショックによる死亡例も多くみられます。

間質性肺炎は重症化しやすく、また治療後も肺の「線維化」によって肺の機能が低下するため、
回復後も酸素投与が必要になったり、ステロイドを長期にわたって内服し続ける必要があるのです。