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その熱について、熱く語ろう 6


発熱のパターンから、「誤嚥」を考えるとき

前回は、発熱を起こした際に「誤嚥」によるものかを考えるヒントをお伝えしました。
少量の誤嚥であっても発熱をきたすことや、
誤嚥してもSpO2が低下するとは限らないことをご説明しました。
実は筆者が「誤嚥」を疑うときに注目しているのが、「熱型」です。
つまり「熱の経過」を表すのですが、この「熱経」ではなく「熱型」…。
つまり「熱のパターン」が重要なのです。
今回は熱型から誤嚥を疑うときを考えてみたいと思います。

いつも、どんなタイミングで体温を測定しているか?
患者さんの体温を測定するタイミングは、医療機関・施設の都合によって変わったり、
その日の業務によっても変わると思います。
したがって1日1検といっても、施設によって、業務の都合によって、
ずいぶんと違う
なぁ、と感じることも少なくありません。
そんな中、散発的に発熱がみられる患者さんがいらしたら、3日間程度など、
短期間でよいので、体温を1日3検してみる
ことをお勧めします。
では、食事の前と後、測定するならどちらがよいでしょうか?
誤嚥は食後などにみられることを考えると、食後のほうが適しているかもしれませんね。
もちろんその際に発熱があれば、合わせてSpO2を測定するのもよいと思います。
普段ならSpO2の低下がないのに、低下していれば誤嚥を疑う所見の1つと言えるでしょう。
しかし前回 お話ししたように、SpO2の低下がない誤嚥もあるので、SpO2の低下がないからといって、
誤嚥を否定することにはならない点は覚えておいてください。

「急激な発熱と解熱」の場合には誤嚥を疑ってみよう
これも前回 お話したことですが、例え微量の誤嚥であっても、
時として高熱がでることがあるのでしたね。
また微量の誤嚥であるがゆえに肺炎には至らないため、解熱も早いのです。
ですから下記の熱型の赤枠で示すような「急激な発熱と解熱」は、
誤嚥を疑う所見として注意するべきだと思います。

嚥下機能が低下するような既往歴や特徴があるか
そしてもちろん、脳血管疾患やパーキンソン病などの既往症、円背・亀背といった
曲がった背骨の変形などもチェックしておくとよいでしょう。
また、食事や飲水のあとに咳き込んでいるか、などにも注意が必要ですね。

いかがだったでしょうか。
実は何気なく測定している「熱のパターン」に、誤嚥を疑う大きなヒントが隠されているかもしれません。
もし誤嚥を疑った場合には、嚥下機能が低下した場合を想定して
試しに食事の形態を変更してみてはいかがでしょうか。
もしそれで、発熱・微熱が減少するようであれば、やはり誤嚥があった、
と考えるヒントになるかもしれません。

次回は、高齢者の発熱の原因として覚えておくべき「偽痛風」について解説します。お楽しみに!