グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



HOME >  その他 >  便通コントロールの極意

便通コントロールの極意


便通コントロールの重要性
外来診療や入院療養の中で、便通コントロールに悩んでいらっしゃる方は少なくないのでは?

患者さんとしては、便秘になれば食欲も減るし、下痢となればお漏らししてしまうのではないかと
心配で療養やリハビリに支障が出てしまうこともあります。

看護師さんは、患者さんが便秘となれば下剤を追加したり、下痢となれば整腸剤を調整したり、
オムツを交換したりと、多大な負担を強いられます。

またリハビリスタッフの方も、患者さんの便通が安定しないことで、
リハビリ時間の多くをトイレで費やしてしまうケースもあると思います。

ですから普段から便通に配慮することで、患者さんは安心し、医療スタッフも負担が増えずに済む、というもの。
ここでは便通コントロールのコツをお伝えしたいと思います。


便通コントロール、3つのポイント
1)便通・排便状況・食事摂取量を把握する:
1日に何回、どんな性状の便が、どの程度出たのか、を把握することが大切です。
また、当たり前ですが、便秘によって食事量が減少する場合も多くみられます。
「なんで食事を食べてくれないのだろう?」と考えたときに、
便秘によるものではないか、と確認してもいいかもしれません。

2)感染性腸炎を疑う:
CD(クロストリディウム)やノロウイルスなど、感染性腸炎の可能性があれば、各種検査を実施するとよいでしょう。

3)内服薬など、薬剤による影響を疑う:
内服や薬剤によって、つまり医原的な問題で便通不良をきたしていないか確認。例えば、
(1)下痢に対して整腸剤を処方→(2)便通が改善→(3)内服を継続→(4)便秘に→
(5)便秘に対して下剤を処方→(6)下痢に→(7)整腸剤を追加…、というパターンです。

ここで大切なのは、(2)または(4)の段階で整腸剤を調整することです。
内服薬を減量するにも、いきなり中止するのではなく、状況によっては「減量」でも充分な場合もあります。
また、内服中の薬剤の副作用で下痢や便秘が起きる可能性も考えておく必要があります。


便通コントロールに使う薬剤(代表的な薬剤を紹介・筆者の個人的な意見も含む)


【下剤】
センノシド:蠕動を促すことで自然な排便を期待
マグネシウム製剤:便を軟化させる・マグネシウム製剤は高齢者、腎機能低下例には、なるべく投与を控える
大建中湯:蠕動が低下した症例(麻痺性イレウスなど)に対して有効・センノシドに近い効果
麻子仁丸:センノシドや大建中湯など 蠕動を亢進する薬剤に、便を軟化させるマグネシウム製剤を加えたような効果

【整腸剤・止痢剤】
乳酸菌製剤:感染性腸炎をはじめ、幅広く整腸作用がきたいできる
止痢剤:ロペミンなど・感染性腸炎の原因物質を腸内に留めてしまうこともあり、慎重に使用を


大建中湯や麻子仁丸(ましにんがん)は、高齢者では5g(2.5g包×2/日)で充分に効果がみられることがあります。
麻子仁丸は、あまり有名ではないかもしれませんが、効果があるケースでは非常に有効な薬剤となります。
便通コントロールの中心は、普段から患者さんに最も近い看護師やリハビリスタッフの皆さんです。

皆さんの気づきによって、患者さんを安心させ、皆さん自身の仕事の負担を軽減することができるはずです。