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管理栄養士が教える「高齢者への食支援」 8


自宅で調理をする場合:「嚥下障害がある人の水分摂取」

嚥下障害がある人の水分摂取

水には粘度がないので、飲み込むときに、さっと早いスピードで喉を通過していきます。
その際に喉頭蓋が気管にフタをすることで、水は気管に入り込まなくなり、食道へと流れていきます。
この喉頭蓋の動きが間に合わなかったり、閉まり方が不完全な場合、気管に水が入り込んでしまいます。
これが いわゆる誤嚥です。この誤嚥を防ぐため、水にとろみをつけることで流れるスピードを遅くします。
とろみをつければ安心というわけではなく、濃すぎた場合には喉の奥に貼りつくように残り、
少しずつ気管に流入することがあるので、嚥下機能に合わせた濃度でとろみをつける必要があります。

とろみの濃度は3段階
これまでもご紹介した「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021(とろみ)」では、
下表のようにとろみの段階を定めています。

段階1 薄いとろみ :スプーンを傾けると、すっと流れ落ちる
段階2 中間のとろみ :スプーンを傾けると、とろとろと流れる
段階3 濃いとろみ :スプーンを傾けても、形状がある程度保たれ、流れにくい
筆者が勤務する病院では、言語聴覚士が患者さんの嚥下機能を評価し、
どの段階のとろみが適しているかを決定
します。
また、患者さんが退院される際には、患者さんやご家族に水分のとろみの付け方を説明します。
更に、退院後に患者さんがデイケアやデイサービスを利用する可能性もあり、
食事や水分を安全に提供してもらえるよう、食事に関する情報を担当ケアマネジャーにも
伝える
ようにしています。

とろみにも段階がある、ってご存知でしたか?
また、患者さんの退院に際して、ご家族やケアマネジャーなど、患者さんの退院後の生活を支える方々にも
情報提供をすることで、より安全に食支援を行うことができます。

次回は「とろみ調整食品」を紹介していきます。