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そこが知りたい、認知症 1 「認知機能」 と 「MMSE」


認知機能 とMMSE

認知症の診断時に使われる代表的な検査が、MMSEです。
30点満点の検査で、24~29点は軽度認知機能障害(MCI)、23点以下は認知症、と診断されます。
では、テストの結果と認知機能の目安は…?

MMSE 30点:正常

25点:もの忘れを自覚できる→私、最近 もの忘れがひどいのよね~

20点:もの忘れを自覚できない→失礼ね、もの忘れなんてしてないわ!

15点:慣習的動作を忘れる→トイレや水道の使い方が分からず、時に火の不始末も = 独居困難に

MMSEだけで判断すべきではありませんが、生活状況を把握することが難しい独居高齢者の場合、
上記の目安を参考に自宅療養の可否を判断するのも1つの方法です。

MMSE 15点以下では投薬による効果が乏しいと言われており、MMSE 10点以下では投薬の中止を検討する場合があります
(例えば、アリセプトを服用しても認知機能は改善せず、性格が怒りっぽくなった、など)。 



アルツハイマー型認知症の治療はない !?

アルツハイマー型認知症の治療薬として代表的なものと言えば、「アリセプト(塩酸ドネペジル)です。
しかしこれは「治療薬」ではありません。アルツハイマー型認知症は、脳組織が萎縮する「変性疾患」と呼ばれるもので、
「進行性」で「不可逆性」の疾患です。
つまり「治らない病気」なのです。

ですから「治療薬」はなく、アリセプトは、敢えて言うなら「進行遅延薬」です。
アルツハイマー型認知症の治療薬は、大まかに2種類に分類されます。脳を「興奮させる」か「鎮静させる」か、です。
アルツハイマー型認知症でも、「ひどく怒りやすい方」もいれば「穏やかな方」までいらっしゃいます。
前者であれば鎮静型を使うべきですし、後者であれば興奮型を投与すべきでしょう。


興奮型:アリセプト、レミニール、リバスタッチ(イクセロン)など:よくある副作用→消化器症状・興奮
鎮静型:メマリー:よくある副作用→ふらつき・傾眠

興奮型の薬剤では、下痢や腹痛などの消化器症状が多くみられます。
しかしリバスタッチやイクセロンは、経皮吸収に時間がかかるテープ製剤であるため、消化器症状が起こりにくい印象があります。

鎮静型の薬剤は傾眠がみられるため、朝ではなく夕または眠前に内服する場合も少なくありません。
ふらつきのために転倒リスクが増大しますから、夜間頻尿の患者さんの場合には 更に注意が必要です。


ちなみに、認知症となった場合、どの程度の改善が得られたら、客観的に「改善した!」と感じるものでしょうか。
個人的な印象になってしまいますが、MMSEで5点程度は改善しないと、認知機能の改善を自他ともに認識できないと思います。
ですから認知機能の低下があっても、治療による効果が得られるのか、目標とするレベルまで改善できるのかも考えて、
治療を検討する場合もあります。


認知症の治療=患者さんの社会性を維持すること
認知機能低下に伴って不穏が強いケースでは、家族としても「自宅では面倒がみられない」という結論になりがちです。
もちろん無理に自宅で療養し続ける必要はなく、介護によって他のご家族の生活が大きく変わってしまう、
損なわれてしまう事態は避けるべきです。

アルツハイマー型認知症によって認知機能が低下していくことは避けられないことだとして、
患者さんの社会性をいかにして保つかが重要ですが、そのためには上記の薬剤に加えて、
他の精神系薬剤を併用する場合も少なくありません。

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