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「不穏」に対するアプローチ4


薬物治療の実際の流れ
抗精神病薬は「せん妄や幻覚妄想状態による不穏」に対して効果があります。
薬剤選択のポイントとしては大きく分けて「不穏の程度」、「投与経路」、「既往症」の3つになります。
そのポイントとともに、選択肢に挙がる代表的な薬剤を紹介していきます。

1.ハロペリドール(セレネース®、リントン®)
興奮が強く、とてもじゃないが薬は飲めるような状態じゃないとか、経口投与不可という場合は注射剤」の出番です。
最も有名なのはハロペリドール(セレネース®、リントン®)ですね。
静脈内投与、筋肉注射として昔からよく使われており、いまも「不穏といえばハロペリドール」という病院も多いと思います。
嚥下性肺炎の危険性をあげたり、抗コリン薬(副作用止め)を必要としてかえってせん妄が悪化したりする可能性もあるため、
漫然と使用せず、必要最低限にして、経口薬に切り替えていく姿勢が大切です。

また、ハロペリドールは実は鎮静作用があまり強くありません。
そして、パーキンソン病やレビー小体型認知症には禁忌です。
幻覚や妄想に対する効果はしっかりとありますが、睡眠を促すような作用が強いわけではないのです。


2.オランザピン(ジプレキサ筋注用®)
第二世代の抗精神病薬で唯一の筋肉注射製剤です。抗幻覚・妄想作用に加えて鎮静作用も強い薬剤です。
「糖尿病」の患者さんには、経口薬は禁忌です(注射剤は禁忌とはなっていませんが、やはり注意は必要でしょう)。
また、非経口ベンゾジアゼピン系薬剤の併用には注意喚起がなされており、基本的には併用しない方がいいと考えます。
あとネックになるのが薬価の部分です。ハロペリドールと比較すると約20倍と高価(ジェネリックなら約40倍!)です。


3.ロナセンテープ
最近では、経口投与が困難な患者さんにも投与可能な薬剤として、テープ剤のブロナンセリン(ロナセンテープ®)が登場しました。
大雑把に言ってしまうとハロペリドールに近い薬です。
副作用が出ても剥がしてしまえば速やかに薬効がなくなるというメリットもあります。
デメリットとしては皮膚かぶれが
みられることがあります。鎮静作用は弱いです。


4.リスペリドン(リスパダール®)の液剤
5.オランザピン(ジプレキサ®)の口腔内崩壊錠

注射するほどではないけれど、内服にちょっとてこずりそうだなというとき、
リスペリドン(リスパダール®)の液剤や、オランザピン(ジプレキサ®)の
口腔内崩壊錠
を使用選択肢として考えるとよいでしょう。
両方とも水なしで内服できる、というメリットがあります。
どちらも非常に効果のある薬ですが、オランザピンの方が鎮静作用は強いです。
ただし、オランザピンは糖尿病禁忌なので注意が必要です。


6.クエチアピン(セロクエル®)
7.ペロスピロン(ルーラン®)

既往にパーキンソン病やレビー小体型認知症がある患者さんの幻覚妄想による不穏の第一選択薬です。
大変便利な薬なのですが糖尿病患者さんには禁忌なので、その場合はペロスピロン(ルーラン®)という薬が選択肢に挙がります。
クエチアピンもペロスピロンも半減期が短い薬です。
鎮静作用はクエチアピンのほうが強いです。
どちらも経口薬ですので、こういったケースで内服できないという場合は治療選択に難渋することが多いです。

今回紹介した抗精神病薬に関しては精神科領域ではよく使われるものの、
本来は統合失調症や双極性障害の薬であって、不穏の原因となっているせん妄やBPSDに対しては
保険適応が通っていないことには注意が必要です。