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「不穏」に対するアプローチ1 「不穏(ふおん)」とは何か?


「不穏」とは?
「不穏」の患者さんで、お困りの医療スタッフの方は少なくないのではないでしょうか。
不穏な患者さんを前にしたときの基本的な考え方・対応方法についてご紹介したいと思います。


そもそも「不穏」とは

不穏とは、その漢字の通り、「穏やかでない」状態を指し、「ちょっといつもと違って落ち着かないな」
という状態から「興奮して大騒ぎしている」ような状態まで幅広く使える便利な言葉です。

「昨晩は不穏で経過した」とか「不穏時指示」など、臨床現場でもよく使われている言葉ですが、
あまり医学的な用語とは言えません。なぜなら、便利な言葉ではあるのですが、
かなり幅広い意味を含んだ言葉なので、患者さんの正確な状態を把握することができず、
具体的にどのような状態なのかを相手に伝えることができないからです。


「不穏」として扱われそうな場面
・ 昼夜逆転が原因で「不眠」となっていて、夜間に「徘徊」してしまっている
・「不安感」や「焦燥感」からそわそわして落ち着かない
・「不機嫌」「易怒性」があってちょっとしたことでも怒ってしまい、「興奮」「暴言・暴力」がみられる
・ そのような不安や興奮の背景には「幻覚」や「妄想」がある

…などなど、いろんな場面や精神症状を想像することができます。

このように、「不穏」と呼ばれる状態はいろいろと考えられ、その原因となる疾患も多岐に渡ります。

「せん妄」や「認知症」をはじめ、その他精神疾患をまず思い浮かべる人も多いと思いますが、
ただ単に何かしらの「ストレス」によって患者さんの精神状態が一時的に不安定になっているだけ、
という場合もあるかもしれません。

病院とは、われわれ医療者からすれば日常的な光景でも、患者さんからすれば慣れない環境であり、
さらに、入院しているということはもちろんなにかしらの病気を患っているわけで、
みんな多かれ少なかれストレス下にあります。
そういった患者さんの心理状態に目を向けることも大切だと思っています。


はじめの一手
私は不穏な患者さんが目の前にいたら、とにかく第一にその人の情報を収集するようにしています。
まずはその方の年齢や既往症、普段の様子など背景を把握します。
そして、不穏に限ったことではないのですが、変化があったのは
「いつからなのか?」
「初めてのエピソードなのか?」
「なにかきっかけがあったのか?」
などを事情がわかっている関係者
(外来であれば家族や介護者、入院中であれば病棟スタッフなど)から確認していきます。

そして、せん妄の話のときにも触れようと思いますが、精神症状が出ているからといって、
精神疾患と決めつけてしまうのもよくありません。

その患者さんの最近の全身状態や、「不穏」つまり精神的な変調をきたす原因となるような
身体疾患が隠れていないか、きちんと検索していく必要があります。

次回は、どのようにその「不穏」に対して対処していくべきかを考えます。

まずは「非薬物的アプローチ」から

「不穏」に対するアプローチ2