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循環器内科医が教える 高血圧 エキスパート編 2 β遮断薬・ARB・利尿薬


エキスパート編 2
比べてみよう、β遮断薬・ARB・利尿薬

循環器内科医の杉村医師と、同僚の南医師が解説する高血圧シリーズ。
本シリーズは「循環器内科医が教える 高血圧」シリーズの続編となる、上級者向けのコンテンツです。
第2回は、β遮断薬・ARB・利尿剤について、更に深く学びます。

【β遮断薬】:
・ビソプロロール(メインテート®):

β1選択性ISA(-)のβ遮断薬。β刺激を抑制すると、
心機能低下・レニン産生抑制・交感神経抑制により降圧される。
よって頻脈合併例・甲状腺機能亢進症・若年性高血圧など交感神経活性が亢進している
高血圧、高レニン性高血圧に積極的な適応がある。
狭心症・心筋梗塞後など降圧と心保護を同時に行える場合も良い適応である。
β1選択性であるため喘息・COPDでも使用可能。脂質代謝・糖代謝に悪影響がある。
糖尿病患者では低血糖発作がマスクされるため注意する。
また、低血圧となった場合に突然中止すると離脱症候群として
狭心症・高血圧発作を起こすことがあり漸減が推奨される。
・カルベジロール(アーチスト®):
α1β遮断薬:β遮断に合わせα1も遮断する。
α1遮断は末梢血管を拡張するためビソプロロールよりも降圧作用が強い。
β1選択性はないため喘息では用いない。代謝面ではβ遮断薬よりも有利。
低血糖発作がマスクされること・離脱症候群を起こす点は同じ。

【ARB】:
ARBを、降圧作用の強さ順に並べると、以下の順になります。
ロサルタン バルサルタン カンデサルタンイルべサルタンテルミサルタンオルメサルタン アジサルタン

・ロサルタン(ニューロタン®):
降圧作用弱く半減期4時間と短い。URAT1阻害作用あり。
2型DM性腎症に適応あり、心不全に適応なし。
・バルサルタン(ディオバン®):
適度な降圧作用・半減期4時間。適応は高血圧のみ。
・カンデサルタン(ブロプレス®):
適度な降圧作用・半減期9時間。
2型DM性腎症に適応なし、心不全に適応あり。
・イルべサルタン(イルベタン®):
適度な降圧作用・半減期13時間。URAT1阻害作用あり。
腎保護作用が強いと言われている、適応は高血圧のみ。
・テルミサルタン(ミカルディス®):
適度な降圧作用・ARBで半減期が20時間と最長。適応は高血圧症のみ。
・オルメサルタン(オルメテック®):
強い降圧作用・半減期10時間。適応は高血圧のみ。
・アジルサルタン(アジルバ®):
強い降圧作用・半減期13時間と作用時間も長い。適応は高血圧のみ。

【利尿薬】(降圧薬としての利尿薬の立ち位置とは?):
体液貯留を認める患者で積極的に用いるが、そうでないならば敢えては用いない。
特に高齢者では、利尿薬は急性腎障害や電解質異常を起こしやすい。
降圧薬として用いる利尿薬はサイアザイド系利尿薬のみである。
・トリクロルメチアジド(フルイトラン®):
サイアザイド系利尿薬の代表。エビデンスはあり第一選択ではあるが副作用が多く、
痛風・耐糖能異常で慎重投与・Cre2.0以上で無効と、使いにくい。
単剤での降圧効果は低い。
また低カリウム血症を予防するため、
RA阻害薬・MR拮抗薬といった他の降圧薬との併用が推奨される。

今回は降圧薬についてまとめましたが、冒頭で説明した通り
まず高血圧の原因を考えることが大切です。
その上で原疾患の治療が必要なのか、食事指導なのか、運動指導なのか、
そして内服加療が必要なのかを検討することが高血圧の加療には重要です。