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血液検査データの読み方:差がつく 生化学1 高ナトリウム血症編(Ans.=3.8g)


データで読み解く 「Na・Cl」・・・高Na血症編

「Na・Cl」 について
血液検査のうち、電解質・臓器機能などを表すデータ。
炎症反応以外にも、臓器の状態を推し量るための重要な項目が多いのが生化学検査ですが、
ここではまず、電解質、その中でも最も重要な「Na・Cl」について学びます。
ご存知の通り、「Na+Cl=塩」であり、血液中の塩分を表します。
2つのうち特に、Naは塩分を表す指標として重要ですが、なぜ重要なのでしょうか? 
それは、脱水や塩分摂取の目安になるから、そして 浸透圧に大きく影響するから、です。

Na・Cl の高値は、「脱水」によるものがほとんど
脱水とは、血液中の「水分の減少」です…が、大切なのは、「血液中の塩分も水分も減少するが、塩分以上に水分が減少した状態」である、ということです。
下の図で詳しく説明してみましょう。

(1)はある濃度の食塩水ですが、これを水と食塩(=塩分)に分けてみると、
(2)のようになります。

では、脱水状態とはどのような状態のことなのでしょうか?
先程 ご説明したように、塩分が減少する以上に水分が減少した状態であり、
(3)のように、塩分濃度は濃くなるのです。

一般的に、Na値が高いとき=高Na血症は、その原因の90%が脱水、と言われています。

脱水の治療には、どんな点滴を投与すべき?
脱水状態の治療といえば、点滴、ですよね。では、どのような点滴を投与すべきでしょうか?

代表的な点滴の種類として、細胞外液(塩分濃度が高い:ラクテック、ソルラクトなど)と、
維持液(塩分濃度が低い:ソリタT3、ソルデム3Aなど)がありますが、
どちらを投与すべきでしょうか?つまり、塩分の濃いものと薄いもの、の2択です。

答えは、細胞外液、つまり塩分濃度の濃いもの、です。
脱水状態では血液検査のNa値が高くなっていることが多く、
「Naが高い状態を補正するのに、Naの濃い点滴を投与することには抵抗がある」、
というのはよく分かります。

しかし脱水の補正上、最も重要なのは血圧の維持であり、
そのために充分な浸透圧を保てる点滴を投与する必要があります。

実は浸透圧の概算式にはNa値も含まれており、浸透圧全体の95%以上がNa値で説明できてしまいます。
従って血圧を保つには塩分が重要であり、Naの補充もできる細胞外液が適しているのです。

点滴で違う、塩分濃度
先程、塩分濃度が高い「細胞外液」と、低い「維持液」についてお話ししましたが、
「濃い・薄い」の基準となるのが「生理食塩水」です。

この生理食塩水は、、何%食塩水かご存知ですか? ズバリ、0.9%です。
だいだい、水100ml に、食塩 1g、です。
この塩分濃度を、点滴のシールに書いてある単位に直して表記すると、
生理食塩水のNa=154mEq/L」、となります。う~ん、難しいですよね。

では、細胞外液や維持液を、同じ単位で表すと…「細胞外液のNa=130」、「維持液のNa=35」、です。
実は「細胞外液の塩分濃度は濃い!」といっても、実は生理食塩水よりも薄いのです。

ここで差がつく! 「食塩1g = Na 17mEq」
生理食塩水は、0.9%食塩水で、Na=154mEq/L、でしたね。

計算しやすくするために、1%食塩水に換算すると、Na=170、となります。
1%食塩水は、1Lの1%にあたる10gの食塩が入っていますから、
食塩10g=Na 170mEq、つまり食塩1g=Na 17mEqとなるのです。

ですから、細胞外液1Lで約7.6g(≒130/17)、維持液1Lで 約2g(≒35/17)の
塩分が投与できることになります。

では最後に問題です。

細胞外液の点滴1本・500ml では、どのくらいの塩分が投与できますか?   





答えはタイトルの( )内に記載してます